海岸防災工学

巨大な沿岸災害から国土を守るための長期的ハザードの評価を行っています.

海岸および海域の防災・減災を目指し,主として海岸工学,海洋物理学,気象学をベースとして,沿岸防災に関する基礎から応用に渡る学際的な研究を行っています.自然災害の防災・減災は,日本だけではなく,世界共通の問題であり,得られた研究成果が世界各国で利用されるような普遍的な研究を進めています.

今後予想される地球温暖化のシナリオの下では,地球規模の気候の変化や海洋の大規模な変動が予想されています.この中で,沿岸部では,海面上昇に加えて,波浪,高潮が現在と異なる振る舞いをすることが予想され,これらが今後どのような変化をするのかの予測が必要とされています.当分野では,温暖化シナリオ下において沿岸災害が長期的にどのように変化していくのかについて予測を行う研究を行っています.

教員

森 信人 (Nobuhito MORI)

教授(防災研究所)森 信人

研究テーマ

大気と海洋を結合する海面では,風から風波や流れに伝えられる運動量,熱,水蒸気のやり取りが行われます.この大気・海洋境界面の波動現象に着目し,風波,高潮そして津波のモデリングについて研究しています.これら数値モデルを活かし,温暖化シナリオ下において,海面上昇,高潮,高波等の沿岸災害の長期的予測予測についての研究を行っています.

連絡先

宇治キャンパス E-201D号室
TEL: 0774-38-4146
FAX: 0774-38-4321
E-mail: lab@oceanwave.jp

志村 智也 (Tomoya SHIMURA)

准教授(防災研究所)

研究テーマTomoya SHIMURA

気候変動による海洋の代表的な影響として海面上昇が挙げられますが,台風・低気圧特性や大気循環場の変化により高潮および波浪特性の長期的な変化が見込まれます.そこで,気候変動による沿岸ハザード(波浪・高潮)に対する影響評価に取り組んでいます.また,気候変動予測には全球気候モデルによる気候計算結果が用いられますが,全球気候モデルにおける大気―海洋相互作用の高度化に取り組んでいます.

連絡先

宇治キャンパス E-204D号室
TEL: 0774-38-4141
FAX: 0774-38-4321
E-mail: shimura.tomoya.2v@kyoto-u.ac.jp

馬場 康之 ( Yasuyuki BABA )

baba2准教授(防災研究所)

研究テーマ

沿岸海域における海水の流動と、それに伴う海岸地形の長期変動を対象として、現地観測および現象のモデル化を中心に、沿岸域に甚大な影響を及ぼす荒天時(強風・高波浪来襲時)に焦点を当てた研究をおこなっています。

連絡先

防災研究所 白浜海象観測所
〒649-2201 和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2500-106
TEL: 0739-42-5532
FAX: 0739-42-5532
E-mail: baba@uh31.dpri.kyoto-u.ac.jp

Amin CHABCHOUB

特定准教授(防災研究所)

研究テーマ

 

連絡先

宇治キャンパス E-210D号室
TEL: 0774-38-4142
FAX: 0774-38-4321
E-mail: chabchoub.amin.8w@kyoto-u.ac.jp

宮下 卓也 (Takuya MIYASHITA)

Takuya MIYASHITA助教(防災研究所)

研究テーマ

将来の地震津波に対する被害予測評価には多様な不確実性が含まれ,特に震源断層の不確実性による影響が大きいことがわかっています.このような津波波源の不確実性を詳細に考慮した,津波の長期評価に取り組んでいます.また,沿岸都市域での津波挙動を解く数値モデルの高度化・効率化や,地形による津波の応答特性に関する研究を行っています.

連絡先

宇治キャンパス E-210D号室
TEL: 0774-38-4142
FAX: 0774-38-4321
E-mail: miyashita.takuya.4w@kyoto-u.ac.jp

今井 優樹 ( Yuki IMAI )

助教(防災研究所)

研究テーマImaiYuki.jpg

沿岸部では,波浪や流れ(沿岸外力)が砂浜の形状や防波堤の設計外力を決め,水温・塩分の分布構造(環境場)が生態系に大きな影響を与えますが,気候変動下におけるこれらの長期的な影響評価は喫緊の課題です.私の研究では,観測データを用いて精度検証をしつつ空間的高解像度な数値モデルの構築を行い,数値シミュレーションによる海洋流動解析を行い沿岸域の物理環境場の影響評価をします.

連絡先

防災研究所 白浜海象観測所

〒649-2201 和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2500-106
TEL: 0739-42-4352
FAX: 0739-42-5532
E-mail: imai.yuki.4c@kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

高潮・波浪・津波ハザードの評価

高潮は、台風のような巨大な移動性低気圧による吸い上げと強風に伴う吹き寄せで生じる異常な海面上昇です。このような高潮には強風に よって発生した高波が伴い、両者により堤内に海水が進入し、大きな災害をもたらすことがあります。また高潮とほぼ同じ支配方程式で記述できる津波は、破壊的な被害をもたらす巨大災害に直結しています。高潮・津波・高波災害を防御するためには、ハザード評価とこれに対応するハード・ソフト対策が必要です。このためには、高潮、津波や波浪の大きさ、頻度を精度よく推算する技術の開発が必要であり、 また、氾濫した際の都市部の建物の影響による陸上での変形を適切に計算する手法の確立が重要です。このため、高潮、津波と波浪の推算とそれらの挙動に関する数値予測手法の精度向上を目指した研究を行っています。

特に台風に関連する大気海洋海面境界過程では,風から風波や流れに伝えられる運動量,熱,水蒸気などのやり取りが行われます.このプロセスは高波や高潮など工学的に重要であるにも関わらず複雑であり,良く分かっていない物理過程が多いです.そこで,海面における粗度、運動量,鉛直混合のパラメタリゼーションとその大気・海洋大循環に対するフィードバックについての研究を行っています.

気候変動に伴う沿岸災害の長期的変化予測

今後予想される地球温暖化のシナリオの下では,地球規模の気候の変化や大気および海面の温度分布の大規模な変動が予想され,台風・熱帯 低気圧等の巨大化など気象の極端化が予測されています.このため,日本沿岸部では従来の知見を超える高波や高潮等の災害を引き起こす可能性は高いことを 予期されています.上記のモデリングに関するテーマと連携し,温暖化シナリオ下における高波および高潮の長期予測を行っています.

Link: Coast will see significant increases in wave heights in the next century

 巨大津波の長期評価

2004年のインド洋津波や2011年の東北地方太平洋沖地震津波がきっかけとなり,巨大津波の災害評価に関する研究は大きく進展しました.巨大な津波は,数百年から数千年に1度の頻度でしか発生しないと考えられるため,長期評価が難しい現象です.これまでの津波評価は,1つないし数ケースの最大シナリオにもとづく決定論的な津波評価が行われてきました.これまでの歴史的な巨大津波では,海溝型地震及びこれに関連する断層破壊の多様性が分かってきました.そこで,海溝型地震における断層の多様性を確率的に考慮した確率津波モデルの開発を進めています.

Link: 巨大津波の確率津波モデルの開発

研究室ウェブサイト

http://www.coast.dpri.kyoto-u.ac.jp/