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地殻開発工学

人類が持続的に発展していくためには、環境に調和した新たな資源エネルギー開発技術、地下空間の有効利用とその維持管理技術の開発が不可欠です。本研究室では、岩石破壊力学、岩石摩擦動力学、岩石水理学、地震学など、様々な分野で発展してきた技術を統合し、エネルギー資源や鉱物資源の生産の高度化や、より困難な環境における資源開発技術の確立などに貢献できるような研究を推進しています。

教員

福山 英一( Eiichi FUKUYAMA )

教授(工学研究科)

福山英一190408研究テーマ

大型岩石剪断摩擦実験や、複雑断層系の破壊伝播シミュレーションといった、岩石破壊力学や岩石摩擦動力学に軸足を置いた研究を通して、これまで実測が難しかった地殻の強度やそこに働いている応力の推定に関する研究を行っています。大型岩石摩擦試験機は世界的にも非常にユニークな試験機であり、そのデータから、摩擦の断層すべり面サイズ依存性や断層面を伝播する破壊フロントの詳細な解析が可能となっています。また、境界積分方程式法による3次元断層系を伝播する破壊計算により、岩盤にかかる応力や強度の評価に関する知見が得られています。

連絡先

桂キャンパス C1棟 3階 355号室
TEL: 075-383-3209
E-mail: fukuyama.eiichi.3x@kyoto-u.ac.jp

奈良 禎太 ( Yoshitaka NARA )

准教授(工学研究科)

奈良 禎太研究テーマ

多くの岩盤構造物には、長期安定性が必要となります。そのため、岩石の力学的性質や破壊に関して詳しく知る必要があります。そこで、岩盤構造物の長期安定性の確保に貢献することを目的として、周辺環境(温度・湿度・水質など)が岩石の力学特性や破壊に及ぼす影響について研究しています。

連絡先

桂キャンパス C1棟 3階 356号室
TEL: 075-383-3210
E-mail: nara.yoshitaka.2n@kyoto-u.ac.jp

吉光 奈奈 ( Nana YOSHIMITSU )

助教(工学研究科)

Yoshimitsu20210322研究テーマ

岩石試料の圧縮破壊試験中の微小破壊や、資源採掘にともなう誘発地震の波形解析を通して、大きな地震が発生する前の地殻の応力や不均質の状態について研究をしています。実験室で広帯域記録の取得をすることで、自然地震における解析と同様の多様な波形解析が可能となります。実験室と自然スケールという二つのスケールにおける解析を相互にインタラクションさせることにより、破壊現象の普遍的な理解を目指します。

連絡先

桂キャンパス C1棟 3階 354号室
TEL: 075-383-3211
E-mail: yoshimitsu.nana.6i@kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

大型2軸剪断摩擦試験機を用いた岩石摩擦の実験とシミュレーション研究

地下深くの岩石は,多くの亀裂を有しており,その亀裂の進展が,岩盤の不安定を生じます。しかしながら,岩盤が破壊するかどうかは,単純に亀裂の進展のみに支配されません。亀裂がずれることによる摩擦の影響も無視できません。地下深くでは高い封圧下にあるため,亀裂が進展したとしても,高い摩擦力のため,亀裂が大きくずれるかどうかは一概に判断できません。

本研究室では,図1に示すような,メートルスケールの岩石に法線応力をかけたのち,剪断応力をかけ,剪断すべりを発生させ,剪断すべりの最中の摩擦力の変化を測定することにより,岩石の破壊安定性の性質を調べています。さらに,図2に示すような数値シミュレーションにより,岩石摩擦と実際の剪断破壊との関係を調べています。

大型岩石摩擦実験においては,すべり面の空間的不均質さによって摩擦係数にサイズ依存性が生じていることや,高速破壊伝播の際の破壊先端の応力集中の直接的なモニターなど,これまで,実験室において簡単には測定できなかったデータが得られており,動摩擦理論構築のための重要な実験データとなっています。

さらに,実験室で得られた摩擦構成法則を用いて計算機上で破壊伝播の再現ができます。既存破壊面(断層)が複雑な形状をしている場合,面の形状とそこに働く外部応力により摩擦力が変化することになり,どこまで断層が壊れるかは,外部から働く力と断層面に働く摩擦力によって決まることになります。

Fig1_20210326
図-1 大型2軸剪断摩擦試験機(防災科学技術研究所所有)

Fig2_20210326
図-2 3次元境界積分方程式法による複雑断層系を伝播する破壊 (1995年兵庫県南部地震)

岩石破壊に及ぼす周辺環境の影響

放射性廃棄物処分施設や原油地下備蓄空洞のような地下岩盤構造物は,長期にわたって利用されるものであるため,周辺岩盤の長期安定性の確保が必要です。また,そのような岩盤構造物を設計する上では,岩石の長期強度の評価が重要となります。長期強度評価のためには,岩石破壊の時間依存性や環境依存性について調べる必要があります。

そこで本研究室では,破壊力学試験法の一つであるダブルトーション試験法を用い,周辺環境(温度,湿度,水質)を制御した条件下で試験を行い,緩やかな速度で起こるき裂進展現象について,実験的に調べています。図3にダブルトーション試験装置の写真および概要図を示します。

これまでの研究活動により,周辺環境がき裂進展速度に大きく影響することが明らかになりました。例えば,水中では大気中よりも岩石のき裂進展速度が増大すること,湿度が高い大気環境下ではき裂進展速度が増大すること,カルシウムイオン濃度が高い水中環境下ではき裂進展速度が低下すること等が明らかになり,岩盤の長期安定性確保のためには,周辺環境が岩石破壊に及ぼす影響を考慮することが必須であることが示されました。

Fig3_20210326

図-3 ダブルトーション試験装置

誘発地震と岩石破壊実験による破壊面近傍の応力・不均質状態の推定研究

自然に発生する地震のみならず,鉱山における採掘や石油やシェールガスの採掘に伴う応力変化で地震が誘発されることが知られています。こういった場所では自然地震の発生サイクルに比べて短いタイムスパンで多くの地震が発生するため,大きな地震発生に先立つ地盤の応力や不均質の変化を観測しやすいという利点があります。

また,より制御した条件下で微小破壊の発生と破壊の進行の関係を観察できる場として,岩石試料の圧縮破壊試験があります。試験機で圧縮をしながら,直径数センチメートルの試料に人工的に弾性波を透過させることで,試料内に生成される亀裂の増加・連結過程を間接的に推定することができます。さらに,AE (Acoustic Emission) と呼ばれる,試料内で発生する微小な破壊を微小地震に見立てて解析することで,自然地震や誘発地震の発生過程の理解に繋げようと研究をしています。

油圧により試料を地下数キロの圧力状態を再現した環境下に置き,上下に圧縮していくと,亀裂の増加にともない透過弾性波の振幅や速度が低下します。載荷中に発生したAEの震源位置を実験終了後に回収した試料のCTスキャン画像に重ねたものが図4です。AEの震源と破壊面が重なっており,AE亀裂が連結することで破壊面が生成されている様子がわかります。

そもそもAEと自然地震の比較をしていいのかという疑問がありますが,図5に示すように,AEが解放した応力量は自然地震と同じ特性を持つことが明らかになりました。このような解析は封圧下で広帯域センサによる多チャンネル計測をすることで実現しました。

Fig4_20210326

図-4 圧縮試験時に発生した微小破壊の震源分布

Fig5_20210326

図-5 実験室における微小破壊の震源特性を自然地震と比較

研究室ウェブサイト

http://geo.kumst.kyoto-u.ac.jp/lab/