地殻開発工学

人類の持続的発展を支える地殻開発技術

人類が発展し豊かな社会を築くためには、持続可能で環境に調和した新たなエネルギー資源の開発技術、地下空間の有効利用とその維持管理技術の創出が不可欠です。本研究室では、岩の力学(岩石力学,岩盤工学)を中心として、破壊力学、流体力学、物理化学など、様々な分野で発展してきた技術を統合し、エネルギー資源や鉱物資源の生産の高度化や、岩盤の工学的利用の際の安全性確保などに貢献できるような研究を推進しています。

教員

奈良 禎太 ( Yoshitaka NARA )

准教授(工学研究科)

奈良 禎太研究テーマ

資源開発や地下空間利用は、人類の持続的な発展のために必要不可欠です。特に、岩石の力学的性質や破壊、水理特性等に関して詳しく知ることは極めて重要です。そこで、岩盤の工学的利用や資源開発における安全性の確保や技術の高度化に貢献することを目的として、周辺環境(温度・湿度・水質など)が岩石の力学特性や破壊、流体の流れ等に及ぼす影響について研究しています。

連絡先

桂キャンパス C1棟 3階 356号室
TEL: 075-383-3210
E-mail: nara.yoshitaka.2n@kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

岩石破壊に及ぼす周辺環境の影響

放射性廃棄物処分施設や原油地下備蓄空洞のような地下岩盤構造物は,長期にわたって利用されるものであるため,周辺岩盤の長期安定性の確保が必要です。また,そのような岩盤構造物を設計する上では,岩石の長期強度の評価が重要となります。長期強度評価のためには,岩石破壊の時間依存性や環境依存性について調べる必要があります。

そこで本研究室では,破壊力学試験法の一つであるダブルトーション試験法を用い,周辺環境(温度,湿度,水質)を制御した条件下で試験を行い,緩やかな速度で起こるき裂進展現象について,実験的に調べています。図1にダブルトーション試験装置の写真および概要図を示します。

これまでの研究活動により,周辺環境がき裂進展速度に大きく影響することが明らかになりました。例えば,水中では大気中よりも岩石のき裂進展速度が増大すること,湿度が高い大気環境下ではき裂進展速度が増大すること,カルシウムイオン濃度が高い水中環境下ではき裂進展速度が低下すること等が明らかになり,岩盤の長期安定性確保のためには,周辺環境が岩石破壊に及ぼす影響を考慮することが必須であることが示されました。

Fig3_20210326

図-1 ダブルトーション試験装置

研究室ウェブサイト

http://geo.kumst.kyoto-u.ac.jp/lab/