地盤力学
社会基盤構造物を縁の下で支えているのは地盤です.そのため,安全な社会基盤を構築するためには,地震や降雨など,様々な外的作用に対する地盤材料の応答を正確に把握する必要があります.さらに,様々な構造物に対して,地盤と構造物間の複雑な相互作用を解明し,その力学挙動を明らかにすることが重要です.本研究室では,「材料」としての地盤の力学特性をはじめ,地盤と構造物の相互作用について実験と数値解析を用いて研究を行っています.
教員
肥後 陽介 ( Yosuke HIGO )
教授(工学研究科)
研究テーマ
地盤材料は、土、水、空気やその他の物質から成る多相系の混合材料で、その力学挙動は各相間の相互作用に依存する複雑な材料です。そこで、X線CT技術を活用してミクロな観点から地盤材料の各相の構造変化を明らかにし、マクロな地盤材料の変形性能および強度特性との関係を研究しています。さらに、地盤材料の変形・破壊挙動を精緻に表現可能な構成モデルと予測シミュレーション法を開発し、道路・堤防といった土構造物や構造物建設時の地盤挙動を解析し、建設時や降雨や地震などの災害時の安定性の評価を行っています。
連絡先
桂キャンパス C1棟 2階 235号室
TEL:
E-mail: higo.yohsuke.5zkyoto-u.ac.jp
橋本 涼太 ( Ryota HASHIMOTO )
准教授(工学研究科)
研究テーマ
地盤,岩盤の力学シミュレーション技術の開発と以下のような地盤力学的問題への応用を進めています。
1. 陰解法に基づく不連続体解析による岩盤斜面の地震時安定性評価
2. 地盤工学に基づく石積文化財の保全
3. 流体との相互作用下での地盤の大変形解析
4. 建設機械との相互作用下での地盤の破壊挙動評価
連絡先
桂キャンパス C1棟 5階 581号室
TEL: 075-383-3192
E-mail: hashimoto.ryota.6ekyoto-u.ac.jp
研究テーマ・開発紹介
地盤材料のマルチスケール力学挙動の解明
地盤材料は、土、水、空気やその他の物質から成る多相系の混合材料で、その力学挙動は各相間の相互作用に依存する複雑な材料です。したがって,種々の地盤挙動を正確に解釈し表現するためには土粒子レベルのミクロなスケールでの変化に着目する必要があります.しかし,現在の地盤工学では,実際に対象とする地盤や土構造物とのスケールの差が著しく大きいため,地盤は土粒子の集合を平均化した連続体とみなして取り扱われています.そこで、X線マイクロCT技術を活用してミクロな観点から地盤材料の各相の構造変化を明らかにし、マクロな地盤材料の変形性能および強度特性との関係を研究しています。さらに、地盤材料の変形・破壊挙動を精緻に表現可能な構成モデルと予測シミュレーション法を開発し、自然地盤および道路・堤防といった土構造物の挙動を解析し、建設時や降雨や地震などの災害時の安定性の評価を行っています。
地盤の力学シミュレーション技術の開発
地盤の力学的な現象のメカニズムを理解し,より安全な社会インフラの設計法や防災に役立つ実用的な技術を提案していく上で,数値解析は有力なツールの一つです.本研究室では,地盤と構造物の相互作用をはじめとして,地盤と流体の相互作用,岩盤斜面の地震時挙動といった様々な問題を対象としたシミュレーション技術を開発しています.例えば,不連続性岩盤の動的解析手法の一つである不連続変形法(DDA: Discontinuous Deformation Analysis)を対象として,解析精度や安定性を向上する改良アルゴリズムを提案し,不連続性岩盤斜面の地震時応答の予測手法の確立を目指しています.また,地盤を対象としてMaterial Point Methodによる大変形解析技術の高度化にも取り組んでいます.
地盤工学に基づく石積文化財の保全
本研究室で開発を進める不連続体の数値解析技術を応用して,文化財である石積建造物の不安定化メカニズムの解明,ならびに安定性評価手法の開発を進めています.その対象の一つがカンボジアの世界遺産,アンコール遺跡です.同遺跡には基礎地盤の沈下によって崩落の危機に瀕するものが多く存在します.これに対し,地盤と石材からなる複合構造物の変形・破壊を連続体と不連続体の力学的相互作用問題として捉え,①地盤-石積構造物系の統合的な力学解析手法の開発から,それを用いた②地盤と石積の複合構造の力学特性の解明と③実用的な安定性(支持力)評価式の構築に至る一連の研究を進めています.