応用力学

力学現象のモデル化と計算機シミュレーション

社会基盤整備において、計画・設計・施工・管理のすべての段階で対象とする構造物が力学的に安全かどうかの検討がもっとも重要である。当講座では、それらの基礎となる力学の理論ならびに応用について研究を遂行すると共に、その研究成果を継承し、発展させることのできる次世代の人材育成を目標とする。

現場観測あるいは室内実験から得られるデータを論理的に説明するための応用力学的研究において、もっとも重要なことは「力学現象のより単純なモデル化」であり、それをもとに計算機による予測手法を開発する。このような研究を遂行するためには、数学および力学の基礎知識が必要であるが、若い世代に対するそれらの教育にも重点を置いている。

教員

西藤 潤 ( Jun SAITO )

西藤 潤准教授(工学研究科)

研究テーマ

数値解析手法の開発とその工学への応用.最近の研究テーマは以下の通り.

  1. 地盤の安定性評価を目的とした有限要素法の開発,
  2. フレッシュコンクリートの流動性解析,
  3. 弾性波動の解析手法の開発とその非破壊検査へ適用,
  4. トンネルの安定性評価.

連絡先

桂キャンパス C1棟 5階 586号室
TEL: 075-383-3181
FAX: 075-383-3183
E-mail: saito.jun.3nimage_atmark.gifkyoto-u.ac.jp

Abbas KHAYYER

KHAYYER, Abbas准教授(工学研究科)

研究テーマ

海岸海洋工学の適用を目的とした,高精度かつ包括的な粒子法型数値解析手法の開発を行っている.具体的には,以下項目が挙げられる.

  1. 物理的・数学的に整合性の取れた,保存性に優れる高精度な粒子法の計算スキームの開発.
  2. 計算コードの並列化およびGPU計算機による計算効率の向上.
  3. 複雑な物理現象に対応する,より信頼性の高いシミュレーションのためのサブモデル(例:乱流モデル)の導入.
  4. 流体・構造物・地盤間の相互作用を表現するマルチフィジックスモデルの開発.

連絡先

桂キャンパス C1棟 5階 586号室
TEL: 075-383-3180
FAX: 075-383-3183
E-mail: khayyerimage_atmark.gifparticle.kuciv.kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

粒子法(ラグランジュ法)による流体解析

粒子法は,大変形問題や複雑乱流場に対しても安定かつ高精度な解析が可能であり,流れ場の数値シミュレーションに対して有効な解析手法の一つとして挙げられる.しかし,比較的新しい手法である粒子法は,運動量やエネルギーの保存性,非物理的な圧力擾乱や数値不安定などいくつかの検討課題を残している.近年では,これらの問題点についても効果的な改良を行ってきている.

現在,主に取り組む研究テーマは以下:

  1. より高精度な計算スキーム・アルゴリズムを導入した粒子法による高精度安定解析手法の開発
  2. 物理過程を忠実に再現する,粒子法による気液混相流モデルの高精度化

image2.jpgimage3.jpgimage4.jpg
図-1

粒子法による流体・構造物連成解析

流体・構造物連成問題(FSI)は,応用科学のみならず,様々な工学分野において極めて重要な課題である.信頼性の高い流体・構造物連成解析には,数値流体力学(CFD)および計算構造力学(CSD)に対応する精度よい物理モデルと,それらの連成手法に関する慎重な検討が必須である.本研究は,高精度な流体モデルおよび構造モデルに加え,数学的に,かつ,物理的に整合性のある連成手法を用いた信頼性の高い流体・構造物連成解析手法の開発を目指す.

image5.jpg
図-2

地盤の安定性解析を目的とした有限要素法の開発

地盤の支持力解析や斜面の安定性解析を数値的に行うため,剛塑性有限要素法と呼ばれる数値解析手法の開発を行っている.剛塑性有限要素法は弾性変形が塑性変形と比較して無視できる場合に用いられる数値解析手法で,極限定理を基礎としている.本研究室では,剛塑性有限要素法の高精度化や補強材と組み合わせて解く手法を開発している.

image6.png  image7.jpg
図-3 円錐台形掘削の安定性解析(安全率を計算している)

非破壊検査のための数値解析手法

物体内部の瑕疵を検出する「レーザー超音波計測」をシミュレートするため,熱動弾性問題を解くための数値解析手法を開発している.レーザー超音波計測は,レーザーにより物体の一部を熱膨張させることで弾性波を励起させ,散乱した波を観測することで内部情報を得る非破壊検査手法である.本研究はこの弾性波を数値的に再現するため,熱と動弾性をカップリングした数値解析手法の開発を行っている.

image8.png
図-4

研究室ウェブサイト

http://basewall.kuciv.kyoto-u.ac.jp/