空間情報学
環境保全と災害防止のために、衛星リモートセンシング、3次元写真測量、レーザー測量、地理情報システムなどの空間情報技術を用いて、国土および環境の現況と変化を観測・解析・評価する方法について研究を行っています。
教員
須﨑 純一 ( Junichi SUSAKI )
教授(工学研究科)
研究テーマ
衛星リモートセンシングで使われるセンサには、マイクロ波を使う合成開口レーダ(SAR) や可視・赤外域を使う光学センサ等があり、それぞれ特長を持っています。災害地域や環境変化の把握等の目的に応じて、各センサのデータを効果的に組み合わせて現象を把握する手法の構築に取り組んでいます。
連絡先
桂キャンパス C1棟 2階 205号室
TEL&FAX: 075-383-3300
E-mail: susaki.junichi.3rkyoto-u.ac.jp
石井 順恵 ( Yoshie ISHII )
助教(工学研究科)
研究テーマ
都市計画や被災状況の把握のために、衛星画像から自動的に高精度で土地被覆分類図を作成する方法を研究しています。
連絡先
桂キャンパス C1棟 2階 204号室
TEL: 075-383-3301
E-mail: ishii.yoshie.4kkyoto-u.ac.jp
研究テーマ・開発紹介
衛星リモートセンシングによる広域環境変化の解析・評価
図-1 2011年東北大震災による関東地方の液状化地点の検出。ALOS-PALSARレーダー画像間のコヒーレンス(相関)変化を利用。
図-2 1990~2010の期間におけるベトナムのマングローブ林の変化追跡。複数シーンのLandsat光学センサを使用。
合成開口レーダ画像を用いた都市密度の推定
衛星搭載型の多偏波合成開口レーダ(Polarimetric Synthetic Aperture Radar: PolSAR)を用いて、建蔽率や容積率のような建物の密度を反映した指標を作成し、都市密度を推定する研究を行っています。通常、衛星画像や航空写真か ら3次元データを推定するには、同一地点を異なる視点から撮影した2枚の画像が必要になりますが、この手法では一時期の多偏波データがあれば高さを反映し た都市密度を推定できます。そのため、統計データが不足する地域を含めた都市構造の比較に役立てられる可能性があります。
図-3 人工衛星を用いて推定した都市密度分布図: (左)JAXAが打ち上げたALOS衛星に搭載されたPALSARセンサを利用して生成した都市密度分布図、(中)ZENRINのZmap TownIIを用いて生成した建蔽率、(右)同じく容積率。生成された都市密度分布図は建蔽率、容積率の両方の中間に相当する性質を持ち合わせている。
航空機レーザデータと航空写真を用いた建物の3次元モデリング
航空機レーザ (Light detection and ranging: LiDAR)データからの建物の3次元モデル生成は、長年取り組まれてきた重要な応用分野の一つです。しかし日本国内の古い町並みの場合は、伝統的建物で ある切妻造や寄棟造、入母屋造といった屋根が傾斜した建物が密集し、同様の高さの建物が連続するため、従来のモデリング手法は効果的ではありません。そこ で、航空写真と航空機LiDARデータを併用して建物の3次元モデルを自動生成するアルゴリズムを提案しました。 その他にも、航空機LiDARデータを用いた都市環境の評価や被災状況の把握等の応用事例も研究しています。
図-4 京都市東山区での建物モデリング例: (左上)航空写真、(右上)著者が開発した領域分割手法を適用した領域分割結果、(下)モデリング結果。青色が切妻屋根、黄緑色が寄棟屋根、紫色が片流れ 屋根、赤色が平屋根のモデルを表している。京都のように屋根の傾斜や高さに変化のない建物が密集している地域ほど提案手法が効果を発揮する。