水文気象工学

天・地・人を繋ぐ水の文(あや)を解きほぐす

リモートセンシングを用いた豪雨の予測から地球温暖化に伴う地球規模での異常降雨の解析に至る様々なスケールの降雨事象から流域で発生する洪水の制御、ノンポイント汚濁負荷の削減など、都市および地域レベルの水文現象を対象とした調査研究を進め、さらに洪水災害や水利用と関わる人間の生活場に関する考究を行なっています。

教員

中北 英一 ( Eiichi NAKAKITA )

中北 英一教授(防災研究所)

研究テーマ

リモートセンシングを用いた豪雨の予測から地球温暖化に伴う地球規模での異常降 雨 の解析に至る様々なスケールの降雨事象を通して、人間の場との関わりに関する考究 をおこなう。

連絡先

宇治キャンパス 防災研究所
TEL: 0774-38-4265
FAX: 0774-38-4265
E-mail: nakakitaimage_atmark.gifhmd.dpri.kyoto-u.ac.jp

山口 弘誠 ( Kosei YAMAGUCHI )

山口 弘誠准教授(防災研究所)

研究テーマ

豪雨災害に対する水文気象学的戦略の構築を目指して、大気モデルによる降水予測精度向上への挑戦や気象レーダー等による未知なる降水プロセスの解明などの研究を進めながら、豪雨災害に対する水文気象学のあり方を探求している。

連絡先

宇治キャンパス 防災研究所 E-531D
TEL: 0774-38-4847
FAX: 0774-38-4647
E-mail: yamaguchiimage_atmark.gifhmd.dpri.kyoto-u.ac.jp

仲 (小坂田) ゆかり ( Yukari (OSAKADA) NAKA )

助教(防災研究所)

osakada20210408研究テーマ

大気モデルと観測情報の両方から,日本における豪雨現象のメカニズム解明と温暖化による将来変化予測を行っています.気象学・気候学・工学それぞれの視点を融合させることで,防災・減災に繋がる新たな知見の創出を目指しています.

連絡先

宇治キャンパス 防災研究所 E-531D
TEL: 0774-38-4266
FAX: 0774-38-4266
E-mail: osakadaimage_atmark.gifhmd.dpri.kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

最新型気象レーダーを用いて雨を測る、予測する!

集中豪雨やゲリラ豪雨など豪雨災害に対して、降雨量を測る・予測するということは極めて重要ですが、現状の気象レーダーネットワークでは社会の要求を必ずしも満足していません。最新型の気象レーダーでは、雨滴の大きさや降水粒子の種類(雨、あられ、氷晶、など)を測ることができると期待されています。私たちは、ビデオカメラを取り付けた気球を雨雲の中に打ち上げて、そこで見える実際の降水粒子と最新型レーダーでの見え方を比較するという大規模な観測実験を実施し、雨滴粒径分布や降水粒子種類の推定手法を開発しています。さらにその応用として、降水量を精度良く推定したり、大気上空で発生するゲリラ豪雨の“タマゴ”を探知したり、地形性降雨(地形性の上昇流によって降雨が強化される)を予測したり、レーダーデータを気象予報モデルへ取り入れる(データ同化)ことで降水量予測をしています。

図1.jpg
(左)沖縄で実施している最新型レーダーとビデオゾンデの同期観測実験
(右)2008年7月28日に兵庫県都賀川流域で発生したゲリラ豪雨のタマゴをレーダーで捉えた様子

 気候変動によって雨の降り方はどのようにかわる?

世界の雨量計による観測情報や人工衛星による地球規模の降雨観測情報を用いて、現気候条件での異常降雨の出現特性の把握や気候変動による兆候を探っています。さらに全球気候モデル(GCM)や領域気候モデル(RCM)とタイアップさせて30年後、100年後の異常降雨の出現特性を明らかにして人間社会への影響予測を行い、どのような適応策を講じるべきかについて研究を進めています。

Fig3-4
(左)100年確率で発生する日降水量に関する将来気候と現在気候との差
(右)気候変動によって、将来、集中豪雨が有意に増加する地域とそうでない地域

流域はどのようにして作られるのか? -降雨との相互作用-

降雨-流出過程を「降雨分布構造―流域構造」とその相互作用から明らかにするという意味での研究のための研究です。具体的には、河川流域において、降雨分布の空間スケールが洪水流出に与える影響を流域スケールや地形則・河道網則をパラメータとして明らかにするために、物理プロセスをベースに河川地形特性に基づいた流域地形を模擬的に発生させることを試みています。これらの情報は、たとえば、どの地域でどういった河川を対象にした場合に分布型降雨情報としてのレーダー情報が有効となるかを明らかにすることにも応用できます。

Fig5
100万年オーダーで模擬的に作成した流域のかたち

京都盆地で水はどのように流れているのか?

京都盆地水系を対象とした水文・環境観測に基づき総合的な水・物質収支の把握を目指しています。解析やモデル化を通して将来的な地域内水資源の量的および質的な評価を行おうとしています。また、都市域の浸水防止のために設置されている貯留施設を活用して、積極的なノンポイント汚濁負荷の削減や貯留雨水の有効利用の検討も行っています。

Fig6
京都盆地における地下帯水層の深さと流動計算

研究室ウェブサイト

http://hmd.dpri.kyoto-u.ac.jp/lab/index.php