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水工学講座 水文・水資源学

水の循環を科学的に理解し、人と水のより良い関係を構築する

わたしたちの生活は、水とともにあります。必要かつ安全な水の確保、大雨時の洪水災害対策、快適な水辺環境の整備など、わたしたちは様々な形で水と水問題に関わっています。こうした背景から、本研究室では、流域スケールから地球規模のスケールで生じる水の流動・循環と、それに関連する熱・物質移動系を科学的・体系的に解明し、これらの現象を計算機上で再現・予測するシミュレーションモデルを開発しています。開発したモデルを利用して、水の循環に関する現象と人間社会システムとの接点で発生する様々な問題に取り組むことで、人と水のより良い関係を築くことを目指します。

教員紹介

 

研究テーマ・開発紹介

(目次)

 

水循環およびそれに関連する物理現象の解明とモデリング

水循環の正しい理解は、河川計画の立案や水災害を軽減・防止する対策を講じるための基礎となります。本研究室では水文現象を分析し、水・熱・物質循環の物理機構を科学的・体系的に理解する研究を進めています。また、その知見に基づいて、流域における水移動、大気と地表面の間の水・熱相互作用、物質の循環を再現し予測する計算機シミュレーションモデルを開発しています。対象とする現象は、自然状態の水文現象だけでなく、人間活動が水循環に及ぼす影響も含まれます。たとえば、ダム貯水池による流水のコントロールや農業などによる取水、蒸発散に対する灌漑などを対象とし、それらの現象を理解してモデル化する研究を進めています。

fig1

図-1   3次元有限差分モデルを用いた斜面流出計算による圧力水頭の推定結果。

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河川計画や実時間水文予測のための技術開発

水循環の理解にもとづき、河川計画やリアルタイムでの水文予測に関する基本的は技術開発を進めています。現在、進めている技術開発は以下のようです。

  • 水文モデリングシステムの開発: 一つの水文素過程を一つの水文要素モデルとし、それらを相互に組み合わせて複雑な水文モデルを構築することをサポートする水文モデリングシステムの開発を進めています。
  • リアルタイム洪水予測システムの開発: カルマンフィルタや粒子フィルタなどのデータ同化システムと流出モデルを組み合わせて、時々刻々得られる水理・水文観測情報を用いながら、リアルタイムで数時間先の河川流量・水位を予測するシステムを開発しています。
  • 降水レーダの高度利用に関する研究: 高解像度の降水レーダと分布型流出モデルを用いて、高度な洪水予測情報を提供するシステム開発を進めています。
  • 水文頻度解析: 水文頻度解析の新たな手法を開発しています。
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    fig2

    図-2   河川流量や水位をリアルタイムに予測するシステムの表示画面。

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    気候変動による水資源の変化予測と対策

    気候変動は我々の生活に大きな影響を及ぼします。本研究室では気候変動が水循環や水資源に及ぼす影響を分析するために、長期間で広域の河川流量を予測する分布型流出モデルの開発を実施しています。また、ローカルスケールの水循環や水資源に対する影響評価を行うために、大気大循環モデル(GCMs)のダウンスケーリングやGCMデータに含まれるバイアス補正に関する研究を行っています。これらをもとに、将来の河川流量を推計し、その変化が水資源に与える影響や水災害の頻度・強度の変化を分析しています。

    fig3

    図-3   GCM による現在気候実験に対する21世紀末気候実験の年降水量の変化。

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    地球全体の水循環メカニズムの解明

    水循環の理解によって、日々の天気予報や将来の気候変動の予測精度の向上が期待されています。特に、土壌の湿り具合によって蒸発量が変わり、雨の降り方も変わってくることから、土壌水分の変動を把握することが重要となります。また、作物は土壌水分を吸収して生長するので、農業用水の利用量や作物収量の予測に際して、土壌水分を把握することが重要となります。そこで、本分野では主に数値計算を用いて、土壌水分の時間変化・空間分布を把握する研究を行っています。対象としては、流域だけでなくグローバルスケールも含めて研究を進めています。具体的には、蒸発散・浸透・流出等の物理過程に加え、人間活動である灌漑の効果を表現できる地表面水文過程モデルを開発しています。さらに、開発した地表面水文過程モデルを用いて土壌水分や蒸発散などを推定し、水循環の変動メカニズムの解明に取り組んでいます。また、数値シミュレーションだけでなく、水文気象観測も実施しています。

    fig4

    図-4   開発した地表面水文過程モデルで推定した土壌水分の世界分布。

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