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沿岸都市設計学

沿岸都市設計学分野では、津波・高潮・局地集中豪雨の際の氾濫流の流動予測および水辺環境保全のための水質改善策(暴気・底泥覆砂など)の基礎となる流体現象(水・土砂・気泡の混合した固気液混相流)を高い精度で数値解析するために、粒子法を軸とした先端的技術開発を行っています。

さらに、各種災害時の群衆避難計画の策定支援を目的として、群衆行動を粒子法と同様のラグランジュ的記述法でモデル化したシミュレーターの開発も進めており、自然現象から人間行動まで広範囲の諸現象を流体・粒状体アナロジーで統一的に記述する計算科学の方法論の構築を目標としています。

教員

後藤 仁志 ( Hitoshi GOTOH )

後藤 仁志教授(工学研究科)

研究テーマ

複雑かつ多様な水面の挙動を追跡可能な粒子法型流体解析および水底おける流砂・漂砂の動態を予測するための数値移動床(数値流砂水理学)を軸とした計算力学的な基礎研究を行っています。自然現象から人間行動まで広範囲の諸現象を粒子システムとして表現するシミュレーション工学的アプローチが特徴です。

連絡先

桂キャンパス CクラスターC1棟 102号室
TEL: 075-383-3309
FAX: 075-383-3311
E-mail: gotoh@particle.kuciv.kyoto-u.ac.jp

原田 英治 ( Eiji HARADA )

原田 英治准教授(工学研究科)

研究テーマ

土砂移動モデルに粒状体を用いた固液混相流モデルの開発を通じて、流砂・漂砂における土砂輸送機構について粒子スケールレベルから計算力学的に検討しています。また、次世代の災害時避難計画策定支援ツールの確立を目指し、粒子モデルによる個体ベース群衆避難シミュレータのシステム開発に取り組んでいます。

連絡先

桂キャンパス CクラスターC1棟 101号室
TEL: 075-383-3310
FAX: 075-383-3311
E-mail: harada@particle.kuciv.kyoto-u.ac.jp

五十里 洋行 ( Hiroyuki IKARI )

五十里 洋行助教(工学研究科)

研究テーマ

波や流れが海岸・河川構造物に作用する際の流体力や構造物の変形挙動を予測するための数値解析手法の確立を目的として、MPS法に着目し、その有効性の検討を行っています。特に、浮体(漂流物)の衝突や変形地盤の作用を考慮した、流体-弾性体および流体-弾塑性体連成解析モデルの開発を行っています。

連絡先

桂キャンパス CクラスターC1棟 115号室
TEL: 075-383-3312
FAX: 075-383-3312
E-mail: ikari@particle.kuciv.kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

『粒子法による自由表面流の計算力学』:砕波・激流のシミュレーション

狭義の「粒子法」はNavier-Stokes式のグリッドレスソルバーを意味します。この種の粒子法としては、SPH法とMPS法が広く用いられています。計算格子上の固定計算点を用いるEuler的な方法では、水塊の分裂や再合体を伴う複雑な水面の挙動を追跡するのは容易ではありません。粒子法は、相互作用しながら移動する粒子が計算点として機能するLagrange的な方法であり、Navier-Stokes式の各項は粒子間相互作用として離散化されます。そのため、単純なアルゴリズムで複雑な水面の挙動にも柔軟に対応することが可能です。 当講座では、波力、越波量等の海岸構造物の設計情報の効率的な収集のため、3次元波浪場のシミュレーションツールとして、粒子法に基づく数値波動水槽を開発しています。100万オーダーの粒子の追跡を可能とする並列計算やBoussinesqモデルに代表される水深積分型モデルとの境界接合などの技術開発を行っています。 洪水時の都市内地下空間からの避難では、階段が唯一の避難ルートです。避難者が流入水に抵抗して登段できる限界状態を正確に推定するには、階段上流れの物理特性の把握が不可欠です。激流ゆえに計測器の設置が困難なこの種の流れについて計算力学的にアプローチしています。図-1は計算結果の一例です。 図-2は、漂流木を伴う津波氾濫流が桁橋に衝突する瞬間をシミュレーションした例です。多数の浮遊物の衝突を伴う流れの計算は、従来の流体解析手法では対応が困難であった課題で、粒子法の有効性が顕著に現れる例の一つです。なお、当講座のwebページでは、この種の計算例のアニメーションも御覧頂けます。

Fig.1
図-1 階段上流れ

Fig.2
図-2 漂流木を伴う津波氾濫流と桁橋の衝突

『数値流砂水理学』:移動床現象への混相流・粒状体力学の導入

河川・海岸の流れは、底面境界が土砂で構成された移動床流れであり、河川・海岸の水理現象の理解には、移動床の水理学が不可欠です。当講座では、この種の問題に計算力学的視点からアプローチするために、混相流(固相・土砂と液相・水流の混在した流れ)と粒状体(砂粒の集合体)の力学を基礎とした数理モデルの開発とそれに基づく流砂・漂砂現象のシミュレーションを行っています。この種の研究領域は、「数値流砂水理学」と呼ばれ、その基幹ツールである数値シミュレータは「数値移動床」と呼ばれています。なお、当講座のwebページでは、この種の研究課題に関する論文および書籍を紹介しております。

『粒子モデルによる群衆避難の計算科学』:災害時避難計画の策定支援ツール

水害時の群衆避難のシミュレーションは避難計画策定の有力なツールです。特に、個体ベースモデルは、現実の群衆避難の素過程である個人行動を直接扱うので、避難過程のディテールの再現に最適です。 図-3は、津波来襲時の小市街地から背後の高台への群衆避難のシミュレーションの一例です。個体ベースモデルでは、避難者個人を追跡するので、種々の属性を個体に付与することが可能で、避難経路情報の周知の有無など、様々な避難シナリオに基づくシミュレーションが実施できます。 当講座では、各種避難計画の策定など実用面の応用研究についても学外機関との共同研究を進めています。現時点の計算規模は数万人に制限されていますが、仮想都市(Virtual City)での社会実験のツールとしての発展を志向しています。なお、当講座のwebページでは、この種の計算例のアニメーションも御覧頂けます。

Fig.3
図-3 津波来襲時の小市街地から高台への群衆避難

研究室ウェブサイト

http://particle.kuciv.kyoto-u.ac.jp/